2022-05-01 (Sun)
11:52
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就業不能保険の分野で有力だと私が思っている保険はアクサダイレクト生命の「働けないときの安心」なので、保険市場のランキングで上位となっていたSBI生命の就業不能保険「働く人のたより」を徹底的に評価し、デメリットを考えていきたいと思います
なお、結論としては、アクサ「働けないときの安心」のほうが優れているため、SBI「働く人のたより」はダメ保険です。
◆「働く人のたより」VS「働けないときの安心」
「働く人のたより」と「働けないときの安心」は、ほとんど同じ設計の保険です。しかし、幾つかの違いがあるため、詳細に見ていきましょう。
◆「働く人のたより」のデメリット
「働く人のたより」には、障害状態になった場合の保障がありません。これは手痛いデメリットです。長期入院でも長期在宅療養でも、いずれは快方に向かい、退院や療養終了となります。そうなれば、月額給付金の支給は終わりです。退院や療養終了によって平時に戻れるのであれば、給付金がなくなっても問題ありません。
しかし、障害が残ってしまった場合はどうでしょうか。脳卒中の後遺症で半身不随になったり、視力がほぼゼロになったり、がんで足を切断することになったらどうでしょう。このような状態になった場合、医療処置の必要性がなくなってしまえば、入院も在宅療養も終わりです。でも、入院が終わっても、入院前の平時には戻れません。就業困難な状況は続くのです。
入院後にも就業不能状態が継続する可能性があるため、障害状態でも機能する「働けないときの安心」のほうが間違いなく優れています。しかも、月額保険料の差額は230円ですから、230円でこうした危機的状況を回避できると考えれば、これは大変魅力的な保障です。
◆「働く人のたより」のメリット
「働く人のたより」最大のメリットは、表には記載できませんでしたが、断続的な入院や在宅療養に対する保障です。つまり、60日間入院して就業不能認定を受けた後、退院して認定解除された場合において、一度は退院したものの、病状悪化で再入院を余儀なくされた場合の扱いです。
このような場合、「働く人のたより」は、180日以内の再入院であれば、60日間の入院を再度求めることなく、再入院1日目から就業不能と認定してくれます。一方のアクサの「働けないときの安心」では、同じく180日以内の再入院について30日間の再入院なければ、就業不能とは認めてもらえません。
このようなメリットがありますが、障害保障が保障されないというデメリットに比べると、それほど大きな問題であるとは思えません。基本的に障害状態に終わりはあり得ませんが、断続的な再入院には終わりがあると考えられます。また、長期間にわたって再入院が続くようなら、障害状態に該当する可能性もあります。
そして、別のメリットとして、「働く人のたより」は、精神障害保障において、在宅療養が保障対象となっています。ただし、精神障害者手帳に基づく給付条件がありませんので、入院も在宅療養も不要だが手帳基準を満たす場合には損をすることになりますが、手帳基準では救えない在宅療養になった場合に限って強みがあります。
この強みが大きなメリットになり得るのか考えてみますが、精神疾患保障は薄いので、あまり大きなメリットではないと考えます。精神疾患保障は18回分の給付金しかもらえませんので、試算プランの場合は5万円が16回と10万円2回の計100万円です。100万円の損なら何とか我慢できますので、それほど重視するものではないと考えます。
ついでに指摘しておきますと、「働く人のたより」は、「全傷病」、「三大疾病だけ」、「がんだけ」の3種類の保障範囲を選べることをメリットのように掲げていますが、就業不能となった原因なんかどうでもよくて、就業不能状態事自体が危険なのですから、「全傷病」以外の選択肢は無価値だと思います。むしろ、手厚いがん保険や三大疾病保険に加入している人のために、「全傷病(がん以外)」や「全傷病(三大疾病以外)」といった一部除外型の選択肢を提示した方が合理的ではないでしょうか。
◆評価
ここまで考察して分かったように、障害保障の有無という違いにより、「働く人のたより」よりは「働けないときの安心」のほうが優れていると考えます。
生命保険のほうに高度障害保障が通常は備わっているため、別途の障害保障なんてものは不要だとお思いになるかもしれませんが、「働けないときの安心」の障害基準は全体的に高度障害よりも幅広の保障を備えておりますので、高度障害一歩手前の状態も当然厳しいことから、この障害保障は大変有用だと考えざるを得ません。
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Last Modified : 2022-05-01
あの様、コメントありがとうございます。お尋ねについては、いい保険だと思います。
損保ジャパンのものは初めて見ましたが、いいと思っていた東京海上のナイスパートナーと同様の仕組みなので、いいと思います。
損保系のそうした保険は、加入者が限られるゆえに記事化できておりませんが、よい設計だと考えています。
お役に立てれば幸いです。
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