2022-04-09 (Sat)
18:54
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こくみん共済(全労済)の販売する「医療保障タイプ」は、医療保険のように、入院や手術といった保障を備える共済です。
しかし、効率的な保障設計がなされているとは言い難く、一部の人にとってはメリットがあるものの、大多数の人にとっては、契約は慎重にならざるを得ないと考えます。
以下で、「医療保障タイプ」のメリットやデメリットを見ていきながら、評価していきます。
◆こくみん共済「医療保障タイプ」の保障内容
加入可能者:18~59歳
共済型:更新型(保障減で最長80歳まで)
月額掛金:一律2300円
先進医療保障:1000万円まで
入院保障:日額10000円(180日まで)
手術保障:6万円
事故通院保障:日額2000円(90日まで)
死亡・重度障害保障:50万円
割り戻し金:380円(2020年度実績)
◆メリット:先進医療保障
わざわざメリットに挙げる必要もありませんが、先進医療保障は月々100円程度の掛金で、数百万円クラスの治療費に備えられるので、当然有用な保障です。
…ということで、こくみん共済「医療保障タイプ」における唯一のメリットです。
◆デメリット:それ以外の全て
デメリットは、先進医療保障を除く全てです。
まず、一律掛金であるため、最低加入年齢の18歳が最も損をし、最高加入年齢の59歳が最も得する設計であることを嫌悪します。
また、入院保障は180日までと一般的な医療保険よりも長いものの、運悪く年単位の長期入院を余儀なくされた場合の備えが全くないことが残念です。短期入院は貯蓄でも対処可能ですが、長期入院は貯蓄での退所が困難で、保険や共済による救済がなければ家計が破綻しかねないのです。短期入院と長期入院のいずれを厚く保障すべきかは明らかです。
手術保障も要りません。手術は何度も何度も行うようなものではなく、高額療養費制度を踏まえれば、十分貯蓄で対応できるリスクです。支払われる額も少額であるため、こんな保障は必要ありません。
同様に、事故通院も不要です。風邪など病気の通院で保障なんて欲しいと思わないのですから、事故通院でも必要なわけがありません。まして、得られる保障も少額ですので、こんな保障は不要です。
死亡・重度障害保障については、その必要性自体は当然高いのですが、なぜ「医療保障」の基本保障として盛り込む必要があるのか全く分かりません。額も中途半端であり、特約扱いが妥当です。取りあえず勤労期に限って幅広の保障が欲しい人にとっては有力な選択肢になるでしょうが、純粋に医療保障が欲しい人にとっては邪魔でしかありません。
◆終身医療保険で十分ではないか
「医療保障タイプ」には17%程度の割り戻し金が期待できるため、実質的な掛金は1900円程度になります。また、手術保障や事故通院保障、死亡保障に魅力はありません。それならば、無理して「医療保障タイプ」を選択する必要はありません。
あなたがもし30歳ぐらいであるならば、月額1900円も使っていいのなら、十分魅力的な終身型の医療保険でも共済でも購入することができます。1900円の使い道として、「医療保障タイプ」が優れているとは私には思えません。
◆まとめ
結局、「医療保障タイプ」がマッチする人というのは、50歳代の人間であるか、勤労期だけ様々な保障が何となく欲しい人に限られるでしょう。若者であったり、家計破綻リスクを低減させる保障を欲する方にとっては、「医療保障タイプ」を選択する理由はないと考えます。
参考:こくみん共済HP「割り戻し金一覧 こくみん共済のタイプ別割り戻し金(2020年度)」
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Last Modified : 2022-04-09