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「わりかん がん保険」のメリット・デメリットを徹底考察!!

2021-07-30 (Fri) 21:42

 普通の保険とは少し趣向の異なった、ジャストインケース社の「わりかん がん保険」について、メリット・デメリットを踏まえ、徹底考察していきます。

 保険料ゼロ円で保障が買えると話題なのですが、結論としては、特定の場面で利用価値があるが、総合的にはダメ保険です。


◆保険料ゼロ円も!!(この保険の仕組み)

 「わりかん保険」の最大の特徴は、保険料ゼロ円の場合があるということです。がんなどで一時金がもらえる人が発生したら、その他の契約者が割り勘で負担しようという発想の保険です。

 つまり、一時金を払うような事態が契約者集団で発生しなければ、その月の保険料はゼロ円です。しかし、集団の中のA君に80万円支給するとなったら、A君以外の契約者で80万円を割り勘して、保険料として支払います。

 また、保険会社の取り分として、契約者が支払う割り勘保険料に一定割合の割増金を積まれます。ただし、割り勘自体が発生しなければ、保険会社の取り分もゼロ円です。


◆保障内容

 契約可能者:20~74歳
 保険期間:1年更新型
 がん診断一時保険金:80万円(1回限り)
 上皮内がん診断一時金:80万円(1回限り)
 死亡保険金:5~300万円(年齢、性別次第)
 20~39歳保険料:0~500円上限
 40~54歳保険料:0~990円上限
 55~74歳保険料:0~3190円上限

◆メリット1:保険会社にリスクをかぶせられる

 「わりかん保険」最大のメリットは、保険料に上限があることです。割り勘額が上限を超えた場合には、保険会社が不足額を支払う仕組みなのです。

 例を挙げましょう。同保険のHPによれば、2021年7月の20~39歳の契約者は約2千人です。

 この状況で2名の方ががんになったなら、160万円分の割り勘が発生します。160万円を1,998人で割り勘するので、一人当たり約800円が必要になります。

 しかし、この年齢群の上限保険料は500円ですので、500円の支払いで済みます。残りの300円は保険会社が負担するのです。

 こうした仕組みから、保険会社は早期に契約者を増やしたいインセンティブを持ちますし、契約者のほうは出来るだけ加入者が少ない方がいいというインセンティブを持ちます。


◆メリット2:保険会社は一時金を払いたい

 「わりかん保険」第二のメリットは、保険会社には一時金を支払いたいインセンティブがあることです。したがって、支払い調査が甘い可能性があります。

 保険会社の取り分は、割り勘額への割増金の形で発生します。そのため、保険料の上限以下である限りにおいて、一時金の支払いが増えれば増えるほど儲かることになります。

 こうした仕組みから、保険会社は一時金の支払いに寛容であることが示唆されるのです。

 なお、このメリットを最大限受けるであろう者は、実はがんに罹患しているけどイチかバチかで加入したような悪意のある加入者です。ただ、そういう人ばかりが加入すると、優良契約者は損するかもしれません。


◆デメリット1:契約者増で全く魅力なし

 「わりかん保険」最大のデメリットは、契約者が増えることによって、保険会社にリスクをかぶせるという最大のメリットが消失し、一般的な保険に成り下がるということです。

 この保険は、契約者が少ないほどに魅力的です。例えば、自分しかこの保険に加入していなければ、保険料はずっとゼロ円なのに、がんになるか死亡すれば一時金がもらえるという神保険です。100人ぐらいの場合も同じで、保険料は基本ゼロ円、極々まれに上限保険料を払うだけで済む最強の保険です。

 しかし、契約者が1万人にもなれば、毎月誰かしらに不幸が起こるので、毎月保険料を払うことになります。

 同社のHPには、20~39歳の期待値保険料は253円であると明示されています。つまり、がんや死亡リスクを踏まえれば、毎月この程度の保険料に収束していくということです。

 ですから、契約者が増えれば、毎月253円前後を払うことになり、保険料が少しばかり変動する一般的ながん・死亡保険になってしまうのです。

 例を挙げましょう。例えば、30歳の男性が35歳までに、がんに罹患する確率は0.2%、死亡する確率は0.3%です。この数値には、上皮内がんの罹患確率は含まれておりませんし、「わりかん保険」に加入できない病弱な人も含まれていますが、ひとまずこんな確率です。

 そうした30歳が1万人居たなら、5年間で49人のがん罹患者と死亡者が発生します。この状況で割り勘保険料だけで上限に達するには、ある一か月に死亡者2名(150万円×2名)、がん罹患者2名(80万円×2)に加えて、あと1人の死亡者かがん罹患者が必要になります。

 60か月の間に起こる49人の不幸が、ある1か月に5人集中する奇跡なんて期待できません。ですから、契約者が増えてしまえば、結局は、毎月平均的な保険料を払うことになっていくのです。

 ですから、加入後に「平均的な支払い保険料が253円ぐらいになってきたな」となった時点で、「わりかん保険」の魅力は賞味期限切れ、解約を考え始める時期に来ています。


◆デメリット2:保険会社の取り分は言うほど安くない

 「わりかん保険」第二のデメリットは、別にそんなに安くないということです。

 まずは、「わりかん保険」のHPにある次の図を御覧ください。 わりかん手数料

 これは誤解を招く悪質な図だと考えています。パッと見では「30%の上乗せ」と捉えますが、違います。よく見てください。上乗せ保険料は、30%ではなく、43%なのです。

 最終的な保険料から見ると30%の取り分ですが、上乗せ保険料としては43%です。この図には、我々を欺こうとする意図が感じられます。

 そんな感じの「わりかん保険」なのですが、「わりかん保険」側の取り分は、契約者数によって変動します。

 最も取り分が多いのが、契約者1千人未満でして、上乗せとしては54%、保険料に占める割合としては35%です。一方、最も取り分が少なくなるのが、契約者2万人を突破した段階でして、上乗せとしては33%、保険料に占める割合としては25%です。

 それで、保険料に占める取り分が25%という割合が、他社の保険に比べて高いのか低いのかが問題になってきます。

 取り分を公開している会社にライフネット生命があります。同社の資料によれば、男性の1千万円の定期型死亡保険で23~41%、男性の診断給付金100万円の終身がん保険で20~34%となっています。いずれも若者からの取り分が高くなっています。

 ですから、25%の取り分が実現したならば、年齢にもよりますが、比較的安い部類に入ります。しかし、「わりかん保険」のHPにある「年齢によっては、従来の保険の50%以下の保険料が期待できます!」と比べると、それほどのインパクトは感じられません。


◆デメリット3:そもそも保障内容が悪い

 「わりかん保険」第三のデメリットは、保障内容が悪いということです。

 1回限りのがん一時金では、家計が困窮する長期療養には耐えられません。また、家計に大した影響も与えない軽度がんにまで一時金が支給される仕組みは、無駄でしかありません。家計が困窮するがんに絞った保障が求められます。

 死亡保障については、高度障害が保障されません。他社保険では、失明や半身不随などの思い障害状態は、死と同等と扱われて、死亡保険金と同額の保険金が支給されます。高度障害保障が不要だなんて、私は決して思いません。

 こうした点から、「わりかん保険」の保障内容は劣っていると考えます。しかし、少額短期保険にそこまで求めるのは酷かもしれませんね。


◆デメリット4:破綻時のケアがない

 「わりかん保険」第四のデメリットは、一般の保険とは異なり、会社が破綻した場合の補償がないということです。

 この点について、同保険の重要事項説明書には次の記載があります。

 「少額短期保険業者が経営破綻した場合であっても、「生命保険契約者保護機構」の行う資金援助などの措置の対象ではありません。また、保険業法第270条の3第2項第1号に規定する「補償対象契約」にも該当しません。」

 まあ、少額保険なので、破綻時の損失も少額で済みますし、そうした破綻時に備えた積立金も不要だからこそ比較的安価に運営できるので、その点は評価すべきです。


◆加入に向く人

 まず、加入者が少ない現段階での加入は、保険会社にリスクをかぶせられる確率が高く、また保険会社の取り分を払う機会自体が少ないので、有利です。ですから、加入者が減るように、増えないように、ネガティブキャンペーンを行える利己的な人に特に向いています。

 また、加入者がある程度増えた後は、保険会社は一時金を支給したいインセンティブがあるので、イチかバチかで加入する人に恩恵があるかもしれません。

 また、性別問わず保険料が同一ですので、例えば、男性よりもがんリスクが高くなる30代女性が、乳がん保障目的で加入するのもよいです(なお、男女間リスクを平準化させるため、30代女性の死亡保障は男性よりも減額されています。)。

 そして、この保障内容で満足できるのであれば、保険会社の取り分が比較的少ない年齢に限った加入もよいでしょう。


◆まとめ・あとがき

 以上のように、加入に向く人が一部いるものの、総合的には魅力がない保険だと思います。また、一見すると、既存の保険とは全く違う保険という新鮮な印象を受けますが、そんなことはありません。

 「わりかん保険」のすばらしさは、割り勘という形で、保障の見える化を行ったことだと思います。

 同社のHPには、契約者から一時金支給者へのコメントがあふれています。やっていること自体は一般的な保険と何ら変わらないのに、割り勘という仕組みを見える化させて介在させただけで、こうも人の認識は変わるものなのだなと、見方を変えさせるというセールスの極意を学びました。

 それにしても、この保険に初期に飛びついた方は尊敬に値します。加入者第1号の人なんて、本当の意味で、無料の保障を得ていたわけですからね。


(出典)年齢階級別・累積罹患リスク・2015年全部位(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター)、令和元年簡易生命表(厚労省)、保険料内訳表(代表例)(2021年6月1日現在。ライフネット生命)
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Last Modified : 2021-08-01

Comments







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No Subject
いつも情報ありがとうございます。

私も加入してますが、このデメリットは考えつかなかったです。人数がどんどん増えないかなぁと思ってましたが、増えると払う可能性が高まる上に補償が限定的ですから確かに不利になっていきますね。
がんにならなかったらタイミングみて辞めます。
2021-07-31-22:53 shino
[ 返信 ]
ぴよすけ
Re: No Subject
管理人です。

shino様、いつも御覧くださり、ありがとうございます。数少ない御加入者にお会いできるとは思ってもみなく、また、初期の段階でこの保険に御加入されていたアンテナの高さに脱帽です。

割り勘という文句を使うなど、加入者が増えるとお得に見えるように広告されていますので、そんな気になってしまいますよね。

まだ加入者が少なく、保険会社に手数料を払う機会が大変少ないので、加入者有利の状況が続いていると思いますので、加入継続に賛成です。保険料を毎月のように払うことになり始めたら、継続を考えなければならない時期かもしれませんね。
2021-08-01-08:14 管理人⇒shino様
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