2016-12-29 (Thu)
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私は、ガン保険の検討に当たっては、長期間の闘病に耐えうる設計が重要だと主張してきました。
しかし、なかなかデータでの裏付けがなく、いささか抽象論に陥っておりましたので、この度、良いデータが見つかりましたので主張を補強しておこうと思います。
ガンに罹患するとどれだけ死亡しやすいのか、これを知っておけば終身ガン保険選びも幾分考えやすくなると思います。
◆ガン罹患後の統計的な死亡率
20歳から60歳男性100人のうち、生涯で少なくとも1回はガンに罹患するのは63人です。
ガンに罹患する63人のうち、1年以内に死亡するのは15人です。このうち、ガンが原因での死亡(以下、ガン死)は13人です。
ガンに罹患する63人のうち、2年以内に死亡するのは23人です。このうち、ガン死は20人です。
ガンに罹患する63人のうち、3年以内に死亡するのは27人です。このうち、ガン死は23人です。
ガンに罹患する63人のうち、4年以内に死亡するのは30人です。このうち、ガン死は24人です。以降、ガンが原因で死亡する人数は横ばいです。
ガンに罹患する63人のうち、5年以内に死亡するのは32人です。
ガンに罹患する63人のうち、10年以内に死亡するのは39人です。
◆見える化するとこうなる

青線がガン患者の死亡率で、赤線が一般人の死亡率です。一般人とは、ガン患者と同じ年齢群の一般人のことを指します。
青線と赤線の差が、ガン死者の割合です。
青線と赤線の差が拡大するということは、一般人よりもガン患者が多く死亡したということなので、つまりガン罹患の4年目頃まではガン死者が大変多いということです。
逆に5年目以降は青線と赤線が概ね平行なので、一般人死者に比べて、ガン患者のガン死者は増加していません。
ただし、5年目以降はガン患者のガン死者がゼロ人であるということではありません。
一般人とガン患者の死亡率が概ね同じとなり、ガン患者であるということが死亡率を押し上げる要因にはならず、また、一般人とガン患者の死亡率が概ね同じであるが故にガン死の影響を抽出できないということに過ぎません。
◆以上のことから言えること
⇒ガンに罹患すると、1年以内という短期間に20%の確率でガン死する。
⇒ガンに罹患すると、4年間かけて40%の確率でガン死する。
⇒ガンに罹患するのは高齢者が多いため、ガン以外の原因で死亡する確率も高い。
⇒ガン罹患から4年を超えると、一般人の死亡確率と大差ないため、ガン死を特別に恐れる必要はない。
⇒これらのことから、次のことが考えられます。ガンに罹患した場合は、4年以内にガン死するか、ガンが治癒して4年を超えて生きられる。
◆終身ガン保険の重要検討事項
ガンは罹患から短期間のうちに死に至るため、短期間に大きな保障を得ることが望ましいと言えるでしょう。
しかし、63%という大変高い生涯罹患確率を踏まえると、短期間の保障を重視すると費用対効果が悪くならざるを得ません。
つまり、初回診断給付金のみが支払われる保険に、加入者100人が各々100万円払ったところで、ガンに罹患する63人に160万円、つまり差し引き60万円が支払われるに過ぎず、「小さな掛金、大きな保障」を旨とすれば割に合いません。コスパが大変悪いのです。
だからこそ、終身ガン保険では「ガンの軽重に応じた保障」が重要であると私は考えます。
例えば、診断給付金の支給条件に「罹患から1年間は免責」などを加えて、罹患後1年以上経ってガン死してしまう11人を保障するための保険があったらどうでしょうか。
この場合、11人に910万円を支給できるのです。コスパは一気に良好となります。
1年以上にわたる闘病という負担に対して厚い保障を行う。そのために、それよりも負担が軽いと推察される1年以内に死亡してしまう15人や1年以内に治癒した人の保障を削減する。こういった方向性を私は好みます。
もちろん、診断給付金が複数回支払われる保険も「ガンの軽重に応じた保障」の一つです。初回の支払いがコスパを悪化させてはいますが、数年の闘病に耐えられます。
もっとも、ガン罹患から短期間のうちに死に至るという側面を踏まえると、悠長に2年毎に1回診断給付金を払う一般的なタイプよりは、発売されているのは少ないですが毎年1回診断給付金を払ってくれるタイプのほうがかなり魅力的ではあります。
また、治療を行った月に給付金を支払ってくれるような保険も、ガンの軽重に応じた保障が期待できるので優れています。例えば、当ブログでも記事にしているチューリッヒのガン保険です。詳しくは「最強の終身がん保険『終身ガン治療保険プレミアム』にて。
従いまして、終身ガン保険を選ぶ際は「ガンの軽重に応じた保障」を重視し、如何に上皮内ガンのような軽度ガンや1年以内に死亡する場合の保障を低く抑えることができるかが重要と言えるでしょう。
そうすれば、治療が早期に終わるガンには僅かな保障、治療が長期にわたるガンには厚い保障という大変効率的な保障が期待できます。
以上、終身ガン保険に対する私の考えです。
なお、定期ガン保険についても、同様に「ガンの軽重に応じた保障」が重視されるべきだと考えます。
しかし、30代や40代ではそもそもの罹患率が大変低いのでコスパが良好なこと、さらに働き盛りで子育て期間という特殊事情を勘案すると、短期間に極めて厚い保障を得てあらゆる治療に挑戦することは重要であると思いますので、終身ガン保険と同列には語れないと考えていますが、これはまたの機会にでも。
【備考】
罹患率について、国立がん研究センターがん対策情報センター「最新がん統計」
死亡率について、全国がん(成人病)センター協議会「全がん協生存率」
しかし、なかなかデータでの裏付けがなく、いささか抽象論に陥っておりましたので、この度、良いデータが見つかりましたので主張を補強しておこうと思います。
ガンに罹患するとどれだけ死亡しやすいのか、これを知っておけば終身ガン保険選びも幾分考えやすくなると思います。
◆ガン罹患後の統計的な死亡率
20歳から60歳男性100人のうち、生涯で少なくとも1回はガンに罹患するのは63人です。
ガンに罹患する63人のうち、1年以内に死亡するのは15人です。このうち、ガンが原因での死亡(以下、ガン死)は13人です。
ガンに罹患する63人のうち、2年以内に死亡するのは23人です。このうち、ガン死は20人です。
ガンに罹患する63人のうち、3年以内に死亡するのは27人です。このうち、ガン死は23人です。
ガンに罹患する63人のうち、4年以内に死亡するのは30人です。このうち、ガン死は24人です。以降、ガンが原因で死亡する人数は横ばいです。
ガンに罹患する63人のうち、5年以内に死亡するのは32人です。
ガンに罹患する63人のうち、10年以内に死亡するのは39人です。
◆見える化するとこうなる

青線がガン患者の死亡率で、赤線が一般人の死亡率です。一般人とは、ガン患者と同じ年齢群の一般人のことを指します。
青線と赤線の差が、ガン死者の割合です。
青線と赤線の差が拡大するということは、一般人よりもガン患者が多く死亡したということなので、つまりガン罹患の4年目頃まではガン死者が大変多いということです。
逆に5年目以降は青線と赤線が概ね平行なので、一般人死者に比べて、ガン患者のガン死者は増加していません。
ただし、5年目以降はガン患者のガン死者がゼロ人であるということではありません。
一般人とガン患者の死亡率が概ね同じとなり、ガン患者であるということが死亡率を押し上げる要因にはならず、また、一般人とガン患者の死亡率が概ね同じであるが故にガン死の影響を抽出できないということに過ぎません。
◆以上のことから言えること
⇒ガンに罹患すると、1年以内という短期間に20%の確率でガン死する。
⇒ガンに罹患すると、4年間かけて40%の確率でガン死する。
⇒ガンに罹患するのは高齢者が多いため、ガン以外の原因で死亡する確率も高い。
⇒ガン罹患から4年を超えると、一般人の死亡確率と大差ないため、ガン死を特別に恐れる必要はない。
⇒これらのことから、次のことが考えられます。ガンに罹患した場合は、4年以内にガン死するか、ガンが治癒して4年を超えて生きられる。
◆終身ガン保険の重要検討事項
ガンは罹患から短期間のうちに死に至るため、短期間に大きな保障を得ることが望ましいと言えるでしょう。
しかし、63%という大変高い生涯罹患確率を踏まえると、短期間の保障を重視すると費用対効果が悪くならざるを得ません。
つまり、初回診断給付金のみが支払われる保険に、加入者100人が各々100万円払ったところで、ガンに罹患する63人に160万円、つまり差し引き60万円が支払われるに過ぎず、「小さな掛金、大きな保障」を旨とすれば割に合いません。コスパが大変悪いのです。
だからこそ、終身ガン保険では「ガンの軽重に応じた保障」が重要であると私は考えます。
例えば、診断給付金の支給条件に「罹患から1年間は免責」などを加えて、罹患後1年以上経ってガン死してしまう11人を保障するための保険があったらどうでしょうか。
この場合、11人に910万円を支給できるのです。コスパは一気に良好となります。
1年以上にわたる闘病という負担に対して厚い保障を行う。そのために、それよりも負担が軽いと推察される1年以内に死亡してしまう15人や1年以内に治癒した人の保障を削減する。こういった方向性を私は好みます。
もちろん、診断給付金が複数回支払われる保険も「ガンの軽重に応じた保障」の一つです。初回の支払いがコスパを悪化させてはいますが、数年の闘病に耐えられます。
もっとも、ガン罹患から短期間のうちに死に至るという側面を踏まえると、悠長に2年毎に1回診断給付金を払う一般的なタイプよりは、発売されているのは少ないですが毎年1回診断給付金を払ってくれるタイプのほうがかなり魅力的ではあります。
また、治療を行った月に給付金を支払ってくれるような保険も、ガンの軽重に応じた保障が期待できるので優れています。例えば、当ブログでも記事にしているチューリッヒのガン保険です。詳しくは「最強の終身がん保険『終身ガン治療保険プレミアム』にて。
従いまして、終身ガン保険を選ぶ際は「ガンの軽重に応じた保障」を重視し、如何に上皮内ガンのような軽度ガンや1年以内に死亡する場合の保障を低く抑えることができるかが重要と言えるでしょう。
そうすれば、治療が早期に終わるガンには僅かな保障、治療が長期にわたるガンには厚い保障という大変効率的な保障が期待できます。
以上、終身ガン保険に対する私の考えです。
なお、定期ガン保険についても、同様に「ガンの軽重に応じた保障」が重視されるべきだと考えます。
しかし、30代や40代ではそもそもの罹患率が大変低いのでコスパが良好なこと、さらに働き盛りで子育て期間という特殊事情を勘案すると、短期間に極めて厚い保障を得てあらゆる治療に挑戦することは重要であると思いますので、終身ガン保険と同列には語れないと考えていますが、これはまたの機会にでも。
【備考】
罹患率について、国立がん研究センターがん対策情報センター「最新がん統計」
死亡率について、全国がん(成人病)センター協議会「全がん協生存率」
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Last Modified : 2016-12-29
国分様、コメントありがとうございます。お尋ねにつきましては、終身ガンは記事にもあるとおりチューリッヒの終身がん治療保険プレミアムは良いと思っています。掛捨てであれば、ご指摘のとおりあらゆるガンと戦えるSBIが良いかと存じます。
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