2015-05-08 (Fri)
22:29
✎
昨今、日銀の異次元の金融緩和もあって、金利は低利で安定しています。しかし、日銀が出口戦略を模索したり、国民全体にインフレ期待が波及すれば、金利は上昇するでしょう。
翻って、貯蓄型保険です。特に、資産形成に向くと謳われる一方で、金利情勢の影響を最も受ける終身死亡保険について、考えてみましょう。
つまり、この低金利時代に貯蓄型保険に加入することは有利なのか・・・という問題です。私の考えは、保険の種類にもよるでしょうが、基本的に不利だと思っています。
◆平成25年の予定利率引下げで保険料10%アップ
平成25年4月、保険会社各社の貯蓄型保険の保険料が大幅アップしました。原因は、国債金利の低下に伴って、金融庁が標準利率を引き下げたので、保険会社も予定利率を引き下げたからです。
簡単に言えば、金融庁から保険会社に 『低金利のせいで運用益はあまり見込めなくなったから、今までより多めにお金を積み立てて保険金支払に備えられる保守的な保険設計にしてね。』 というお達しが来たからです。
これに伴い、例えば日本生命の長期定期保険や、ソニー生命の積立利率変動型終身において、保険料が約10%も上昇しました。
また、予定利率が改定されていない商品や値上げが小幅な商品であっても、注意が必要です。
例えば、ソニー生命のバリアブルライフ、つまり変額終身死亡保険は予定利率の改定が行われませんでしたが、同時期に保険料の値上げと返戻率低下が起きていますので、注意が必要です。
◆低金利時代の加入は不利過ぎる
平成25年4月に、標準利率が1.5%から1.0%へ0.5ポイント低下した結果、保険料が10%も上昇しました。
平成25年3月に契約した人と、4月以降に契約した人とで、保障内容は同一にも関わらず保険料だけが10%も異なるのです。
10%と言うことは、4月契約の人は、3月契約の人よりも毎年毎年1か月分以上もの保険料を余分に払っている計算です。契約年数が長く、保険料が高いだけに悲惨過ぎます。
低金利時代に終身死亡保険に加入すると、こんなにも不利な条件を一生背負っていくことになりますが、果たしてそれほどまでに加入する必要性は高いのでしょうか。
それに、10%の保険料格差で既に痛いと感じるのに、過去の高金利時代のバブル期の保険、いわゆる『お宝保険』と比べてしまうと言葉も出ません。
◆金利上昇局面で少~し挽回
そんな不利な契約を結んだ4月契約の人でも、今後金利上昇局面が訪れれば、有利な契約を結んだ3月契約の人よりも利差配当等のメリットを多く享受出来ます。
ただし、過度の期待は禁物です。利差配当や利率変動の仕組みを考えれば、10%の保険料格差の大部分を穴埋めできるとは考えられず、格差の極一部を埋めるに過ぎないでしょう。
◆低金利時代に加入する余地はあるのか
このように不利に思われる終身死亡保険ですが、加入余地はあるのでしょうか・・・私は『限定的にある』と思います。
例えば、今後何十年も金利は上昇しないという考えをお持ちの方は、加入することに何ら問題ありません。このような考えの方にとっては、今は『低金利時代』ではありませんので、加入する理由としては十分です。
また、資産運用目的の加入については解約返戻率が短期間で100%を上回って解約が容易になる一時払や10年程度の短期払を除けば基本的に『なし』だと思いますが、葬儀代等に備える死亡整理資金用としての最小限の加入なら『あり』だと思います。
低金利のデメリットを一生背負うことになるので不利は不利ですが、いつ死んでも他人に金銭的迷惑はかけないで大丈夫という安心感や、掛捨ては絶対に嫌だという心理面のメリットは理解出来ますし、加入額が少額なので積極的ではないものの『あり』だとは思います。
◆まとめと保険会社への要望
以上まとめると、貯蓄型保険は極めて資産運用としての性格が強いため、やや結果論的ではありますが、高金利時に加入することに旨味があるため、低金利時の加入には慎重にならざるを得ません。
そして、個人的には、低金利時代に保険加入適齢期を迎えたことが不運でなりません。(高金利時代なら高金利時代で、保険なんて保守的な運用してられるか、となるかもですが。)
また、無理を承知で保険会社にお願いするならば、せめて利率改定前の商品設計も見積もり可能にしてもらいたいです。
私達消費者には情報が少な過ぎます。予定利率改定前後の保険料と返戻金の推移を見比べて、今が加入時なのか、もう少し待つべきなのか消費者自身が判断できる環境が整えば、素晴らしいと思います。
参考:平成25年4月の保険料上昇について「平成25年4月以降の個人保険の保険料率について」(H25.1.21、日本生命)及び「保険料率の改定について」(H25.2.19、ソニー生命)。配当金算出方法について「平成25 年度決算(案)のお知らせ」(H26.5.20、ソニー生命)
翻って、貯蓄型保険です。特に、資産形成に向くと謳われる一方で、金利情勢の影響を最も受ける終身死亡保険について、考えてみましょう。
つまり、この低金利時代に貯蓄型保険に加入することは有利なのか・・・という問題です。私の考えは、保険の種類にもよるでしょうが、基本的に不利だと思っています。
◆平成25年の予定利率引下げで保険料10%アップ
平成25年4月、保険会社各社の貯蓄型保険の保険料が大幅アップしました。原因は、国債金利の低下に伴って、金融庁が標準利率を引き下げたので、保険会社も予定利率を引き下げたからです。
簡単に言えば、金融庁から保険会社に 『低金利のせいで運用益はあまり見込めなくなったから、今までより多めにお金を積み立てて保険金支払に備えられる保守的な保険設計にしてね。』 というお達しが来たからです。
これに伴い、例えば日本生命の長期定期保険や、ソニー生命の積立利率変動型終身において、保険料が約10%も上昇しました。
また、予定利率が改定されていない商品や値上げが小幅な商品であっても、注意が必要です。
例えば、ソニー生命のバリアブルライフ、つまり変額終身死亡保険は予定利率の改定が行われませんでしたが、同時期に保険料の値上げと返戻率低下が起きていますので、注意が必要です。
◆低金利時代の加入は不利過ぎる
平成25年4月に、標準利率が1.5%から1.0%へ0.5ポイント低下した結果、保険料が10%も上昇しました。
平成25年3月に契約した人と、4月以降に契約した人とで、保障内容は同一にも関わらず保険料だけが10%も異なるのです。
10%と言うことは、4月契約の人は、3月契約の人よりも毎年毎年1か月分以上もの保険料を余分に払っている計算です。契約年数が長く、保険料が高いだけに悲惨過ぎます。
低金利時代に終身死亡保険に加入すると、こんなにも不利な条件を一生背負っていくことになりますが、果たしてそれほどまでに加入する必要性は高いのでしょうか。
それに、10%の保険料格差で既に痛いと感じるのに、過去の高金利時代のバブル期の保険、いわゆる『お宝保険』と比べてしまうと言葉も出ません。
◆金利上昇局面で少~し挽回
そんな不利な契約を結んだ4月契約の人でも、今後金利上昇局面が訪れれば、有利な契約を結んだ3月契約の人よりも利差配当等のメリットを多く享受出来ます。
ただし、過度の期待は禁物です。利差配当や利率変動の仕組みを考えれば、10%の保険料格差の大部分を穴埋めできるとは考えられず、格差の極一部を埋めるに過ぎないでしょう。
◆低金利時代に加入する余地はあるのか
このように不利に思われる終身死亡保険ですが、加入余地はあるのでしょうか・・・私は『限定的にある』と思います。
例えば、今後何十年も金利は上昇しないという考えをお持ちの方は、加入することに何ら問題ありません。このような考えの方にとっては、今は『低金利時代』ではありませんので、加入する理由としては十分です。
また、資産運用目的の加入については解約返戻率が短期間で100%を上回って解約が容易になる一時払や10年程度の短期払を除けば基本的に『なし』だと思いますが、葬儀代等に備える死亡整理資金用としての最小限の加入なら『あり』だと思います。
低金利のデメリットを一生背負うことになるので不利は不利ですが、いつ死んでも他人に金銭的迷惑はかけないで大丈夫という安心感や、掛捨ては絶対に嫌だという心理面のメリットは理解出来ますし、加入額が少額なので積極的ではないものの『あり』だとは思います。
◆まとめと保険会社への要望
以上まとめると、貯蓄型保険は極めて資産運用としての性格が強いため、やや結果論的ではありますが、高金利時に加入することに旨味があるため、低金利時の加入には慎重にならざるを得ません。
そして、個人的には、低金利時代に保険加入適齢期を迎えたことが不運でなりません。(高金利時代なら高金利時代で、保険なんて保守的な運用してられるか、となるかもですが。)
また、無理を承知で保険会社にお願いするならば、せめて利率改定前の商品設計も見積もり可能にしてもらいたいです。
私達消費者には情報が少な過ぎます。予定利率改定前後の保険料と返戻金の推移を見比べて、今が加入時なのか、もう少し待つべきなのか消費者自身が判断できる環境が整えば、素晴らしいと思います。
参考:平成25年4月の保険料上昇について「平成25年4月以降の個人保険の保険料率について」(H25.1.21、日本生命)及び「保険料率の改定について」(H25.2.19、ソニー生命)。配当金算出方法について「平成25 年度決算(案)のお知らせ」(H26.5.20、ソニー生命)
スポンサーサイト
Last Modified : 2015-05-12